受注停止中の「フェアレディZ」と「シビックタイプR」の現状は? 注文再開はある?
掲載 carview! 文:工藤 貴宏 98
掲載 carview! 文:工藤 貴宏 98
少し前までの“スポーツカー冬の時代”を考えれば信じられないことだが、いま日本ではスポーツカー市場が盛り上がっている。たとえばマツダ「ロードスター」は2022年の通年で9578台を国内販売し、2017年に現行モデルのND型がデビューして以来最も売れた年となった。
スポーツカーは一般的にフルモデルチェンジ直後がもっとも多く売れる。しかしロードスターは、魅力的なグレードである「990S」が2021年末に追加されたという背景があるとはいえ、フルモデルチェンジ直後ではなく5年も経過した2022年のほうが売れたのだからちょっとした事件だ。
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スポーツカーが好調な理由は、コロナ禍に入るのと同時に始まった「旅行や外食にお金を使えないからクルマにお金を使う」という流れを引きずりつつ、昨今言われている「モーターを備えない純エンジン車は現行モデルがほぼ最後の世代」という影響も大きいらしい。
販売現場の声を聞くと、ここ1年ほどの傾向として「今のうちに純エンジン車にMTで乗りたい。買っておきたい」という顧客が増えたという。
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さて、そんなスポーツカー人気を象徴するモデルと言えば日産「フェアレディZ」とホンダ「シビックタイプR」だろう。どちらも2022年に新型がデビューした。しかし、今は注文することができない。人気が生産能力を超え、受注停止となってしまったからだ。
メーカーの公式サイトでは、両車とも「注文を一時停止」という趣旨の記載がされている。どちらも「受注終了」ではなく、あくまで「一時停止」としており、逆に言えば再開される可能性は“ゼロではない”ということだ。欲しいけど買えなかったファンにとっては、この先どこかのタイミングで再び購入できるようになるのか気になるところである。
そこで今回は、フェアレディZとシビックタイプRがオーダーを再開する可能性があるのかに関して考察してみたい。
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まずは両車の国内における受注状況を確認してみよう。
日産とホンダの広報部に確認したところ、フェアレディZに関しては「公表していない」とのことだが、シビックタイプRは「2万台以上」を受注しているとのこと。先代シビックタイプR(2017年モデル)の国内販売台数が累計8000台ほどだから、新型シビックタイプRの売れ行きは極めて好調なのだ。
では、オーナーの元へと届いた車両の数(登録台数)はどう推移しているか。
フェアレディZの販売台数は次の通り。
2022年8月・・・97台
2022年9月・・・57台
2022年10月・・・121台
2022年11月・・・121台
2022年12月・・・121台
2023年1月・・・63台
2023年2月・・・98台
対してシビックタイプ Rは次のようになっている。
2022年9月・・・436台
2022年10月・・・307台
2022年11月・・・659台
2022年12月・・・361台
2023年1月・・・478台
2023年2月・・・536台
3桁と少ないながら、ある程度の数を登録しているシビックタイプRに比べ、フェアレディZは日本向けとして生産される数が極めて少ないことが理解できる。このペースだと年間で1200台、5年間生産したとしても6000台ほどしか届けられない計算だ。
とは言え、シビックタイプRに関しても「2万台以上」という受注台数から計算すると、すべてを顧客のもとへ届けるには4年ほどかかる計算となる(概算であり今後の生産状況により変動するのは間違いなく、ホンダは「2年以上」と発表している)。
あくまで筆者の推測に過ぎないが、国内登録台数の状況から判断すると、フェアレディZも納車待ちを解消するまでにはシビックタイプRに近い、もしくはそれ以上の時間を必要となるだろう。
>>今すぐ買うなら…フェアレディZの中古車情報はこちら
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いずれにせよ、「2年待ち」とか「4年待ち」なんて、この価格帯の国産車ではこれまで聞いたことがない異例の納車待ちだ。これほどまでに生産台数が少ない理由はどこにあるのだろうか。
ご存じのように、いま国産車ではフェアレディZやシビックタイプRに限らず幅広い車種で長期の納車待ちが多く発生している。1年待ちは珍しいことではないし、トヨタでは多くの車種が「受注一時停止」となっている。
その理由とされているのが、半導体不足だ。様々な要因から、クルマに多く使われるシンプルで安価な半導体が不足している。車両を作るうえで不可欠にもかかわらず、その供給に制約があることから、作れる車両の数が制限されているのだ。
部品が足りない以上、自動車メーカーとしては車両を作りたくても作れない、増産したくても増産できない状況となっているのである。
また、半導体以外も、世界的な物流の滞りやコロナによるロックダウンの影響などで部品が十分流通していない。現場では、納入予定の部品がいきなり手に入らなくなることもあるそうだ。思うように車両を作れない代表例は半導体だが、原因は半導体だけに限らないのである。
また、フェアレディZの生産台数が極めて少ないのには部品不足以外にも事情がある。生産を担う栃木工場は、「ニッサン インテリジェント ファクトリー」として日産が最先端の技術を投入して構築した次世代の生産ラインだが、そのラインが本来の生産能力に達していないのである。
同社広報部によると「今後は塗装や組立工程などの増強を図って能力を高めていく予定」というから生産のペースアップに期待したい。
>>フェアレディZの気になる点は? みんなの質問はこちら
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果たして、フェアレディZとシビックタイプRのオーダー受付を再開する日は来るのか?
結論から言えば、現時点では誰にもわからない。日産の広報部もホンダの広報部も「なんとも回答できなくて……」と明確なコメントを避ける状況だ。
しかしこの先、半導体不足が解消し工場の生産能力が高まれば、再びオーダーを受け付けてもらえる日が来る可能性もゼロではないと言える。いまの生産状況は「通常ではない」だけに、通常に戻れば生産台数を増やせる可能性が高いのだ。その日が1日も早く訪れることを期待しようではないか。
惜しくもフェアレディZやシビックタイプRをオーダーできなかった人は、まず半導体不足(現在は少しずつ状況が良くなっているようだ)が解消されることを切に願おう。しっかりと購入資金を貯めながら。
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